2008年1月6日日曜日

映画ロケと盛岡の演劇 2004.2.27(NO23)

 二月十三日、小樽を訪ねた。
 小樽は雪あかりのイベントで賑わっていた。壬生義士伝のプロデューサーである松竹映画の宮島氏から「映画・天国の本屋のロケセットを小樽運河の倉庫で公開しているから、是非見て欲しい」と勧められていた。
 小樽フィルムコミッションの実務責任者である小樽市観光振興課長が出迎え、ロケセットのことやロケ支援の内容について説明してくれた。「天国の本屋」は、盛岡のある書店から火がついて日本中を感動させながらロングベストセラーになった本を松竹が映画化したもので、今年六月に公開される。昨年夏の撮影に使ったロケセットをそのまま保存し、観光用に随時公開している。小樽は北日本でも有数の人気ロケ地で、平成十三年にフィルムコミッションが結成されてから百本以上のテレビ・映画のロケ支援要請があるとのこと。盛岡も北日本ではロケ支援の多いところだが、ロケ支援要請は小樽三分の一程度だ。
 小樽は市民参加によるイベント振興がさかんだ。小樽運河を市民活動で保存を実現させた実績が背景にあるのだろう。冬のイベントである「雪あかりの路」の従事者も「フィルムコミッション」のエキストラも多くの一般市民が支えている。演劇のさかんな盛岡でもエキストラ登録の市民は七十名あまり。小樽は三百人を超し、ロケセット公開の受付案内もエキストラ登録者がボランティアで引き受けている。
 盛岡ロケで有名な映画は昭和十五年公開の「馬」(山本嘉次郎監督、高峰秀子主演)。半年も盛岡に滞在し、後世に残る感動的な映像を残した。祭りのシーンや馬検場のシーンでは多くの市民が協力したという。
 戦後では昭和三十二年の松竹映画「花くれないに」のロケが市民の話題をさらっている。小山明子、笠智衆らが出演した青春映画で、監督は田畠恒男。盛岡はオール野外のロケで高松の池、中ノ橋界隈、馬検場、岩手公園などの名所が撮影場所となった。一般市民のほか、盛岡一高、二高の生徒各二百人が制服のままエキストラとして出演。路上のデモシーンの撮影では中ノ橋付近が見物客と相まって大混雑となり、数時間にわたって交通が遮断された。当時珍しかった総天然色(カラー)の映画で、盛岡がふんだんに紹介されるということもあり、市民の期待は高かった。
 この昭和三十二年、旧盛岡劇場は谷村文化事業団により全面改装され、「谷村文化センター」として再出発した。同じ年、市民による演劇鑑賞組織「盛岡芸術鑑賞協会」(現・盛岡演劇鑑賞会)が発足、谷村文化センターで第一回目の鑑賞会を実現させた。

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